この記事の要点
Qc
必要な容量〔kvar〕= P ×(tanθ1 − tanθ2)
交流回路の基本式
6%・13%
直列リアクトル。13%は第3次高調波を考慮する場合
高圧受電設備規程(JEAC 8011-2025)1150-9
300kvar
超えるときは2群以上に分割する
高圧受電設備規程 1150-9 1項①
遅れ
進み力率にしない。軽負荷時に注意
高圧受電設備規程 1150-9
- 手順は3つ。改善前後の力率から Qc を求める → 直列リアクトルを選ぶ → 分割・放電装置を確かめる。
1. 力率改善で何が変わるか
力率は、皮相電力 S に対する有効電力 P の割合(cosθ)です。コンデンサで無効電力 Q を減らすと、同じ P でも S が小さくなり、電流も同じ割合で減ります。
電気料金の力率による割引・割増は、約款ごとに異なります。電力会社の約款で確認してください。
2. 必要な容量の求め方
Qc = P × (tanθ1 − tanθ2)
tanθ = √(1 − cos²θ) ÷ cosθ
| 記号 | 意味 | 単位 |
| Qc | 必要な進相コンデンサ容量 | kvar |
| P | 負荷の有効電力 | kW |
| θ1、θ2 | 改善前、改善後の力率角(cosθ が力率) | ― |
| S | 皮相電力。S = P ÷ cosθ | kVA |
条件:三相3線式、6600V、有効電力 100kW、力率を 80%から 95%に改善する。
- 改善前:tanθ1 = √(1 − 0.8²) ÷ 0.8 = 0.6 ÷ 0.8 = 0.750
- 改善後:tanθ2 = √(1 − 0.95²) ÷ 0.95 = 0.3122 ÷ 0.95 = 0.3287
- 容量:Qc = 100 × (0.750 − 0.3287) = 42.1 kvar
- 皮相電力:S1 = 100 ÷ 0.8 = 125 kVA、S2 = 100 ÷ 0.95 = 105.3 kVA
- 電流:I = S ÷ (√3 × V)。I1 = 125,000 ÷ (√3 × 6600) = 10.9 A、I2 = 105,263 ÷ (√3 × 6600) = 9.2 A。電流は 約16%減
42.1kvar は計算値です。実際のコンデンサは、メーカーの定格容量から選びます。
力率改善コンデンサの容量ツールに上の条件を入力すると確認できます。
3. 直列リアクトル
高圧受電設備規程は、コンデンサリアクタンスの6%又は13%の直列リアクトルを施設するよう定めています(1150-9)。
出典:高圧受電設備規程(JEAC 8011-2025)1150-9。高調波抑制対策技術指針(JEAG 9702-2023)202-1
| リアクトル | 位置づけ |
| 6% | 高調波抑制対策技術指針の判定で「直列リアクトル付」と言えば、6%直列リアクトル付を指す |
| 13% | 第3次高調波を考慮する場合の選択肢 |
同指針の第1ステップの判定で検討を簡略化するには、進相コンデンサが全て6%直列リアクトル付であることが条件の一つです。一部でも直列リアクトルなし、または13%付があると該当しません(2023年版で明確化)。
4. 分割と制御
定格設備容量が300kvarを超えるときは、2群以上に分割し、負荷に応じて容量を変えられるようにします(1150-9 1項①。性質上変える必要がない場合を除く)。
出典:高圧受電設備規程(JEAC 8011-2025)1150-4表(自動制御方法の例・推奨)
| 定格設備容量 | 制御方法の例 |
| 50kvar以下 | 負荷パターンが一定で2群以上に分割できない場合は、タイマー・1群以上。それ以外は、自動力率制御装置等・2群以上 |
| 50kvar超過 200kvar以下 | 3群以上 |
| 200kvar超過 | 4群以上、1台の容量は200kvar以下 |
開閉装置は、1150-3表が50kvar以下と50kvar超過に分けて、CB・LBS・PC・VMC の使用可否を定めています。PC は50kvar超過では施設できず、50kvar以下でも進相コンデンサ単体の場合に限ります。
5. 進み過ぎと放電
容量は、負荷設備の種類・稼働率を考えた補正負荷容量に対して選びます。インバータ機器分は補正負荷容量から除き、進み力率にならない定格設備容量とします(1150-9)。負荷が軽いときにコンデンサだけが残ると、進み力率になります。
出典:高圧受電設備規程(JEAC 8011-2025)1150-9 4項
| 放電装置 | 条件 |
| 放電コイル | 開路後5秒以内に50V以下 |
| 放電抵抗内蔵形 | 開路後5分以内に50V以下 |
6. 太陽光(逆潮流)がある場合
逆潮流がある場合は、受電点の力率にも条件があります。
出典:系統連系規程(JEAC 9701-2024)第2章 第1節 1-2 力率
| 条件 | 受電点の力率 |
| 逆潮流あり | 原則85%以上。系統側から見て進み力率としない。電圧上昇を防ぐためやむを得ない場合は80%まで |
| 逆潮流なし | 85%以上。進み力率としない |
低圧の小出力などでは、発電設備の力率で判断する扱いもあります。案件ごとに系統連系規程で確認してください。
ご利用にあたって
この記事は一般的な考え方の整理であり、個別の設計の判断を代替するものではありません。実際の設計は最新版の規程と、使用する機器の製品資料に基づいて行ってください。内容の利用によって生じた損害について、当方は責任を負いかねます。
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