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進相コンデンサは何kvar必要か
容量の計算と直列リアクトル

力率改善は、無効電力 Q をコンデンサで打ち消して、皮相電力と電流を小さくすることです。

この記事の要点

  • 手順は3つ。改善前後の力率から Qc を求める → 直列リアクトルを選ぶ → 分割・放電装置を確かめる。

1. 力率改善で何が変わるか

力率は、皮相電力 S に対する有効電力 P の割合(cosθ)です。コンデンサで無効電力 Q を減らすと、同じ P でも S が小さくなり、電流も同じ割合で減ります。

電力のベクトルと、進相コンデンサの接続 左は電力のベクトル。有効電力 P は変わらず、改善前の無効電力 Q1 が進相コンデンサの容量 Qc だけ減って改善後の Q2 になり、皮相電力が S1 から S2 に小さくなる。右は単線の接続。電源側の母線に、負荷と、開閉装置・直列リアクトル・進相コンデンサの直列の枝が並列につながる。 改善前 改善後 P 有効電力 S1 S2 Q1 Q2 Qc 接続(単線) 電源側 負荷 開閉装置 直列リアクトル 進相コンデンサ 電力のベクトルと、進相コンデンサの接続 上は電力のベクトル。有効電力 P は変わらず、改善前の無効電力 Q1 が進相コンデンサの容量 Qc だけ減って改善後の Q2 になり、皮相電力が S1 から S2 に小さくなる。下は単線の接続。電源側の母線に、負荷と、開閉装置・直列リアクトル・進相コンデンサの直列の枝が並列につながる。 改善前 改善後 P 有効電力 S1 S2 Q1 Q2 Qc 接続(単線) 電源側 負荷 開閉装置 直列リアクトル 進相コンデンサ

電気料金の力率による割引・割増は、約款ごとに異なります。電力会社の約款で確認してください。

2. 必要な容量の求め方

Qc = P × (tanθ1 − tanθ2)
tanθ = √(1 − cos²θ) ÷ cosθ
記号意味単位
Qc必要な進相コンデンサ容量kvar
P負荷の有効電力kW
θ1、θ2改善前、改善後の力率角(cosθ が力率)―
S皮相電力。S = P ÷ cosθkVA

条件:三相3線式、6600V、有効電力 100kW、力率を 80%から 95%に改善する。

  1. 改善前:tanθ1 = √(1 − 0.8²) ÷ 0.8 = 0.6 ÷ 0.8 = 0.750
  2. 改善後:tanθ2 = √(1 − 0.95²) ÷ 0.95 = 0.3122 ÷ 0.95 = 0.3287
  3. 容量:Qc = 100 × (0.750 − 0.3287) = 42.1 kvar
  4. 皮相電力:S1 = 100 ÷ 0.8 = 125 kVA、S2 = 100 ÷ 0.95 = 105.3 kVA
  5. 電流:I = S ÷ (√3 × V)。I1 = 125,000 ÷ (√3 × 6600) = 10.9 A、I2 = 105,263 ÷ (√3 × 6600) = 9.2 A。電流は 約16%減

42.1kvar は計算値です。実際のコンデンサは、メーカーの定格容量から選びます。

力率改善コンデンサの容量ツールに上の条件を入力すると確認できます。

3. 直列リアクトル

高圧受電設備規程は、コンデンサリアクタンスの6%又は13%の直列リアクトルを施設するよう定めています(1150-9)。

出典:高圧受電設備規程(JEAC 8011-2025)1150-9。高調波抑制対策技術指針(JEAG 9702-2023)202-1
リアクトル位置づけ
6%高調波抑制対策技術指針の判定で「直列リアクトル付」と言えば、6%直列リアクトル付を指す
13%第3次高調波を考慮する場合の選択肢

同指針の第1ステップの判定で検討を簡略化するには、進相コンデンサが全て6%直列リアクトル付であることが条件の一つです。一部でも直列リアクトルなし、または13%付があると該当しません(2023年版で明確化)。

4. 分割と制御

定格設備容量が300kvarを超えるときは、2群以上に分割し、負荷に応じて容量を変えられるようにします(1150-9 1項①。性質上変える必要がない場合を除く)。

出典:高圧受電設備規程(JEAC 8011-2025)1150-4表(自動制御方法の例・推奨)
定格設備容量制御方法の例
50kvar以下負荷パターンが一定で2群以上に分割できない場合は、タイマー・1群以上。それ以外は、自動力率制御装置等・2群以上
50kvar超過 200kvar以下3群以上
200kvar超過4群以上、1台の容量は200kvar以下

開閉装置は、1150-3表が50kvar以下と50kvar超過に分けて、CB・LBS・PC・VMC の使用可否を定めています。PC は50kvar超過では施設できず、50kvar以下でも進相コンデンサ単体の場合に限ります。

5. 進み過ぎと放電

容量は、負荷設備の種類・稼働率を考えた補正負荷容量に対して選びます。インバータ機器分は補正負荷容量から除き、進み力率にならない定格設備容量とします(1150-9)。負荷が軽いときにコンデンサだけが残ると、進み力率になります。

出典:高圧受電設備規程(JEAC 8011-2025)1150-9 4項
放電装置条件
放電コイル開路後5秒以内に50V以下
放電抵抗内蔵形開路後5分以内に50V以下

6. 太陽光(逆潮流)がある場合

逆潮流がある場合は、受電点の力率にも条件があります。

出典:系統連系規程(JEAC 9701-2024)第2章 第1節 1-2 力率
条件受電点の力率
逆潮流あり原則85%以上。系統側から見て進み力率としない。電圧上昇を防ぐためやむを得ない場合は80%まで
逆潮流なし85%以上。進み力率としない

低圧の小出力などでは、発電設備の力率で判断する扱いもあります。案件ごとに系統連系規程で確認してください。

7. 関連ツール

ご利用にあたって

この記事は一般的な考え方の整理であり、個別の設計の判断を代替するものではありません。実際の設計は最新版の規程と、使用する機器の製品資料に基づいて行ってください。内容の利用によって生じた損害について、当方は責任を負いかねます。

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