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電圧降下の許容値は何%か
考え方と計算の手順

電圧降下は「何%以内」と一つには決まらず、回路の種類と、根拠とする規程で見方が変わります。

この記事の要点

  • 計算は「係数 × 抵抗率 × こう長 × 電流 ÷ 断面積」の形。係数は単相2線が2、単相3線が1、三相3線が√3。必要な断面積は式を解き、JIS公称断面積に切り上げて決めます。
  • 逆潮流のある交流側は、電圧降下ではなく電圧上昇を見ます(式は同じ)。

1. 電圧降下とは

電流が流れるとケーブルの抵抗で電圧が下がります。送り出す側と受ける側の電圧の差が電圧降下 e〔V〕、標準電圧に対する割合が電圧降下率〔%〕で、電流・こう長が大きいほど、断面積が小さいほど大きくなります。

2. 許容値の考え方

電圧降下を見る区間の線図 引込線取付点から幹線、分電盤、分岐回路、負荷の順に並び、幹線と分岐回路にはそれぞれ標準電圧の2%以下、電気使用場所内の変圧器から供給される場合の幹線は3%以下。起点から最遠端の負荷までのこう長が60mを超えるときは1310-1表による。 引込線取付点 起点:供給変圧器の二次側端子 分電盤 最遠端の負荷 幹線 2% 分岐回路 2% 電気使用場所内の変圧器から供給される 場合の幹線は3%以下 起点から最遠端の負荷までのこう長が60mを超えるときは、1310-1表による 電圧降下を見る区間の線図 引込線取付点から幹線、分電盤、分岐回路、負荷の順に並び、幹線と分岐回路にはそれぞれ標準電圧の2%以下、電気使用場所内の変圧器から供給される場合の幹線は3%以下。起点から最遠端の負荷までのこう長が60mを超えるときは1310-1表による。 引込線取付点 起点:供給変圧器の二次側端子 分電盤 最遠端の負荷 幹線 2% 電気使用場所内の変圧器から 供給される場合の幹線は3%以下 分岐回路 2% 起点から最遠端の負荷までの こう長が60mを超えるときは、 1310-1表による
回路許容値根拠・注意
低圧の幹線・分岐回路幹線・分岐回路それぞれ標準電圧の2%以下。電気使用場所内の変圧器から供給される幹線は3%以下とすることができる内線規程1310-1(1項)、勧告。引込線取付点から引込口まで、構内変圧器の二次側端子から主配電盤までも幹線に含めて計算(同条の注)
こう長が長い低圧回路供給変圧器の二次側端子から最遠端の負荷までのこう長が60mを超えるときは、1310-1表の値によることができる内線規程1310-1(2項・1310-1表)、勧告
太陽光の直流側2%前後が設計目安公的規格・規程の数値ではない。ケーブル費と発電量損失の経済比較で決めるのが本来
逆潮流のある交流側電圧上昇として評価。小出力の系統連系型太陽光発電設備は、パワーコンディショナから引込線取付点まで標準電圧の2%以下。系統の電圧維持範囲とPCSの過電圧整定にも照らして確認内線規程3594-3(勧告)。電気事業法施行規則(平成7年通商産業省令第77号、2026年4月1日施行の現行条文)第38条(標準電圧100Vで101±6V、200Vで202±20V)。4章参照

太陽光の直流側の2%前後は、日本の公的規格・規程の数値ではありません。海外の例として、NEDO「地上設置型 太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン 2024年版」技術資料(2024年5月31日)に、ドイツは「ストリングケーブルで1%、DCケーブルで1%の合計2%以下」、イタリアは「2%以内の電圧降下を目安」とあります。

こう長が60mを超えるとき

供給変圧器の二次側端子(低圧受電は引込線取付点)から最遠端の負荷までのこう長が60mを超えるときは、1項にかかわらず、負荷電流で計算した電圧降下を次の表の値までとすることができます(内線規程1310-1、2項と1310-1表。勧告)。

こう長が60mを超える場合の電圧降下〔%〕(内線規程1310-1表)
こう長構内の変圧器から供給低圧で受電
120m以下5以下4以下
200m以下6以下5以下
200m超過7以下6以下

こう長は、上の起点から最遠端の負荷までの電線で数えます。緩められるのは許容値であって、機器が動作できる電圧の範囲ではないため、末端の機器の動作電圧範囲も確認します。

%の値は内線規程(勧告)で示されています。逆潮流による電圧上昇は、この条のほかに3594節(系統連系型小出力太陽光発電設備の施設)が参照されています。

根拠とする規程・仕様書を先に決め(発注者の仕様書で指定されることもあります)、回路の種類(幹線・分岐、直流・交流、逆潮流の有無)を分けます。末端機器の動作電圧範囲、許容電流、短絡電流に対する強度、機械的強度は別に確認します。

3. 計算の手順と例題

式と係数の意味

単相2線式:e = 2 × ρt × L × I ÷ A
単相3線式:e = 1 × ρt × L × I ÷ A
三相3線式:e = √3 × ρt × L × I ÷ A

L はこう長〔m〕(片道)、I は電流〔A〕、A は1条の断面積〔mm²〕、ρt は導体温度 t での抵抗率〔Ω·mm²/m〕。並列条数 n があれば A × n とします。

出典:内線規程 資料1-3-2(電圧降下計算式。関連条文は1310-1)
配線方式係数 K1降下を見る間略算の係数
単相2線式2線間35.6
単相3線式1対地間17.8
三相3線式√3線間30.8
三相4線式1対地間17.8
ρt = ρ20 × {1 + α(t − 20)}
銅:ρ20 = 0.01724 Ω·mm²/m、α = 0.00393
アルミ:ρ20 = 0.02826 Ω·mm²/m、α = 0.00403

温度は、最高許容温度(90℃など)ではなく、運転時に導体が実際に達する温度で、屋外の太陽光は40℃程度が目安、架台下や管路内は60〜75℃でも確認します。略算係数(単相2線35.6、単相3線17.8、三相3線30.8)は ρ ≒ 0.0178 Ω·mm²/m(銅の約28℃)相当です。

必要な断面積を求める

許容値 eallow〔V〕は標準電圧 × 許容率。式を断面積について解くと最小断面積です。

eallow = 電圧 × 許容率
Amin = 係数 × ρt × L × I ÷ eallow

Amin 以上で最も近いJIS公称断面積(2、3.5、5.5、8、14、22、38、60、100、150、200、250、325、400、500 mm²)を選びます。電流は電力から換算(三相 I = P ÷ (√3 × V × cosφ)、単相 I = P ÷ (V × cosφ))。

計算例(三相3線式、手計算)

条件:三相3線式 210V、電流 50A(力率1で約18.2kW)、こう長 60m、銅ケーブル、導体温度 40℃、許容率 2%。

  1. 抵抗率:ρ40 = 0.01724 × {1 + 0.00393 × (40 − 20)}= 0.01724 × 1.0786 = 0.018595 Ω·mm²/m
  2. √3 × ρ40 = 1.7321 × 0.018595 = 0.032208
  3. 0.032208 × L × I = 0.032208 × 60 × 50 = 96.62(この値を断面積で割ったものが e)
  4. 許容値:こう長60mは「60mを超える」場合ではないので、1310-1の2%(1項)を使います。eallow = 210 × 0.02 = 4.2 V
  5. 必要な最小断面積:Amin = 96.62 ÷ 4.2 = 23.0 mm²。22 mm² に少し足りないため、JIS公称断面積では 38 mm² を選びます。
  6. 検算:22 mm² の場合 e = 96.62 ÷ 22 = 4.39 V(2.09%)で許容値を超えます。38 mm² の場合 e = 96.62 ÷ 38 = 2.54 V(1.21%)で収まります。

210Vはツールの既定です。標準電圧200Vなら2%は4.0V、最小断面積は 96.62 ÷ 4.0 = 24.2 mm² で、選ぶサイズは同じ 38 mm² です。

略算係数 30.8 なら 30.8 × 60 × 50 ÷ 1000 = 92.4 で、22 mm² のとき e = 4.2 V、許容値とちょうど同じです。前提しだいで「ぎりぎり成立」と「1サイズ上」が入れ替わるため、余裕が小さいときは前提を明記します。

電圧降下の計算ツールに、三相3線式、210V、電流50A、こう長60m、導体温度40℃、許容率2%と入力すると確認できます。

4. 太陽光の逆潮流で電圧が上がる側の考え方

逆潮流があると、PCS出力端の電圧は連系点より、ケーブルの降下分だけ高くなります。式は前章と同じで、e は電圧上昇分です。

PCS出力端の電圧 = 連系点の電圧 + e
逆潮流の向きと電圧上昇を見る区間の線図 逆潮流では電力がパワーコンディショナから引込線取付点に向かって流れる。小出力の系統連系型太陽光発電設備では、パワーコンディショナから引込線取付点までを標準電圧の2%以下とする。PCS出力端の電圧は連系点の電圧に e を加えたもの。 パワーコンディショナ 引込線取付点 逆潮流の向き 2%以下(内線規程3594-3) PCS出力端の電圧 = 連系点の電圧 + e 逆潮流の向きと電圧上昇を見る区間の線図 逆潮流では電力がパワーコンディショナから引込線取付点に向かって流れる。小出力の系統連系型太陽光発電設備では、パワーコンディショナから引込線取付点までを標準電圧の2%以下とする。PCS出力端の電圧は連系点の電圧に e を加えたもの。 パワーコンディショナ 引込線取付点 逆潮流の向き 2%以下(内線規程3594-3) PCS出力端の電圧 = 連系点の電圧 + e

5. ケーブルを太くするか、こう長を見直すか

e はこう長 L に比例し、断面積 A に反比例します(こう長を半分、断面積を2倍にすると、降下は半分)。3章の例題では、22 mm² から 38 mm² にすると、e は4.39Vから2.54Vに、約58%に下がりました。

高圧ケーブルには22 mm² 未満の設定がなく、サイズは短絡電流に対する熱的強度と機械的強度で決まります。

6. 関連ツール

ご利用にあたって

この記事は一般的な考え方の整理であり、個別の設計の判断を代替するものではありません。実際の設計は最新版の内線規程、電気設備技術基準の解釈、系統連系規程、および使用するケーブル・パワーコンディショナの製品資料に基づいて行ってください。内容の利用によって生じた損害について、当方は責任を負いかねます。

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